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福岡地方裁判所 昭和48年(わ)414号 判決 1973年11月21日

本店所在地

福岡県柳川市大字西浜武一、一五五番地

株式会社 西日本建設工業

右代表者代表取締役

古賀克已

本籍および住居

福岡県柳川市大字西浜武一、一五五番地

会社役員

古賀克已

昭和一一年六月二〇日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官松田達生出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金一〇〇万円に、被告人古賀克已を懲役四月に処する。

被告人古賀克已に対しこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告会社および被告人古賀克已の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、福岡県柳川市大字西浜武一、一五五番地に本店を置き砕石業を営む資本金七〇〇万円の株式会社であり、被告人古賀克已は右会社の代表取締役として同会社の業務全般を対外的に代表して執行していたものであるが、同被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一、昭和四四年一一月一日から昭和四五年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は一、〇五一万六、九六三円で、これに対する正規の法人税額が三五三万六、三〇〇円であつたのに、公表経理上架空外注費を計上するなどの不正の手段により、その所得の一部を秘匿したうえ、昭和四六年一月四日、同県大牟田市所在の大牟田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三八九万一、〇〇三円であり、これに対する法人税額が一一一万七、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正な行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額三五三万六、三〇〇円と右申告税額一一一万七、七〇〇円との差額二四一万八、六〇〇円をほ脱し、

第二、昭和四五年一一月一日から昭和四六年一〇月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額は一、五二三万九、四五四円で、これに対する正規の法人税額が五二六万九、〇〇〇円であつたのに、公表経理上架空外注費および架空仕入れを計上するなどの不正の手段により、その所得の一部を秘匿したうえ、昭和四七年一月四日、前記大牟田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四四七万八、〇九四円であり、これに対する法人税額が一三三万〇、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正への行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額五二六万九、〇〇〇円と、右申告税額一三三万〇、一〇〇円との差額三九三万八、九〇〇円をほ脱したものである。

(証拠の標目)

判示冒頭の事実を含む各事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書および同人の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、古賀良子の検察官に対する供述調書

一、古賀良子(二通)、林田数行(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、昭和四七年一〇月二日付古賀良子作成の上申書二通

一、押収してある元帳一つづり(昭和四八年押第二三三号の一)、手形受払帳一冊(同号の二)、領収証、請求書二つづり(同号の三および四)

判示冒頭の事実につき

一、登記簿謄本

判示第一の事実につき

一、昭和四七年一〇月四日付古賀良子作成の上申書(昭和四五年一〇月期事業年度の決算書および元帳と決算書との差額説明書に関する部分)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和四五事業年度における分)

判示第二の事実につき

一、昭和四七年一〇月四日付古賀良子作成の上申書(昭和四六年一〇月期事業年度の決算書および元帳と決算書との差額説明書に関する部分)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和四六事業年度における分)

(法令の適用)

被告会社の判示各所為は、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金額の合算額の範囲内で被告会社を罰金一〇〇万円に処し、被告人古賀克已の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、判示各罪につき所定刑中それぞれ懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役四月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により、被告会社および被告人に連帯して負担させることとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 知念義光)

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